人類はなぜ“幽霊”や“妖怪”を恐いと思うのか。幽霊と妖怪の違いも解説
「信じるかはあなた次第」という言葉があるように、存在が明快ではなく、曖昧なものとして定着している、幽霊や妖怪。
しかし全人類に同じく言えることは、「幽霊や妖怪を恐いと感じる」ということです。
ではなぜ人は「幽霊を恐い」と思うのでしょうか。
ざっと結論を言うと、
・現代社会のテレビ番組等での煽り
・“夜”や“暗闇”などにそもそも恐怖を感じているから
・人間の本能的に“恐怖”を感じる状況下にあるから
このような理由が考えられます。
それではこの3点の理由を、しっかりと詳しく解説していきます。
◎「そもそも幽霊や妖怪の違いってなに?」◎
皆さん「怖い怖い」と騒いでいますが、幽霊と妖怪の違いはご存知でしょうか。
まずは幽霊の概要から説明しましょう。
幽霊は、「死んだ人の霊が現れたもの」とされていて、この世で未練を残したまま亡くなり、あの世に行けずにさまよう霊が生前の姿で現れたものを言われています。
個人的な未練のある相手の前に現れて付きまとうという一説があります。
そして妖怪の概要は以下の通り。
「人間以外の動物や物から変化したもの」で、相手を選ばずに脅かすとされています。
自然や物事に対する畏怖などの念が具体的に表されたものが多いことが特徴です。
何点か幽霊と妖怪について相違するものがありますが、一番わかりやすいのは、「人か人以外か」ということ。
幽霊は成仏できなかった“人”がさまようとされていますが、妖怪は“人以外の動物”の畏怖を具体化したものとされています。
そして次の相違点が、幽霊は「未練が残っている」という幽霊自身の事情がありますが、妖怪は「畏怖を具体化した」という意味で作られています。
ということは、妖怪というのはこの世で生きている人間が想像で“作った”存在であるということです。
◎「なぜ幽霊や妖怪を人は“怖い”と認識するのか」◎
幽霊と妖怪についての違いはばっちりですが、「なぜ幽霊や妖怪が怖いのか」という部分はまだ解決してません。
記事の最初の部分で挙げたものを詳しく記載していきます。
●「現代社会のテレビ番組等での煽りがあるから」
現代の社会ではテレビの普及で、多くの人が同じ情報やイメージを共有することが容易にできるようになりました。
その一つとして「心霊現象や心霊スポットを巡る番組」も多く放送されています。
そのため、「ろくろ首」と言えば多くの人が全く同じろくろ首を想像でき、「のっぺらぼう」と言えば多くの人が同じのっぺらぼうを想像できるのです。
そのため、番組の演出などで「これは怖いものなんだ」と半分決めつけのようにして「怖い印象」を付けられていることも考えられます。
●「“夜”や“暗闇”にそもそも恐怖を感じているから」
これは人間の心理として、誰でも夜や暗い場所は怖く感じるのです。
心霊現象の舞台やホラー映画の舞台は多くが夜のトンネルや夜の井戸、夜の病院などです。
トンネルや病院、井戸も同じで、普段は昼の明るいうちに行くことが多い場所です。
そんな明るい時間に行くことが通常である場所に、あえて「暗い」や「夜」というイメージを付けることで、「違和感」を生ませます。
だから、言ってしまえば、幽霊や妖怪が出てこなくても、「夜の病院」や「夜のトンネル」は怖いのです。
そのため、そもそもテレビなどで「幽霊は怖い」というイメージが幽霊について入れば、「幽霊の恐怖」と「夜の病院」の相乗効果で、より怖く感じているわけです。
●「人間の本能的な状態下にいるから」
これも「夜の病院」や「夜のトンネル」に抱く恐怖と同じくなりますが、じゃあそもそもなぜ「夜」は怖く感じるのか、今度はそこを掘り下げます。
「夜」と言われれば「暗い」ということがつきものですが、この「暗い」という部分に人間が恐怖や危機を感じるのです。
「危機」と言っても「生命的な危機」です。
暗い場所では、視界がはっきりしません。
そのため何かが襲ってきても、うまく身を守ることが難しいのです。
その他にも、「病院」などの場所というのは、「死」を連想させます。
「死」+「暗い」=「怖い」というのは当たり前ですよね。
そもそもトンネルなどの場合、その場所になじみがないことも十分あり得ます。
そのため「なじみがない場所では外敵から隠れる場所を把握できていない」という本能が働くことも考えられます。。
まとめ
ここまで、「幽霊と妖怪の違い」と「幽霊や妖怪はなぜ怖いのか」という部分を解説しました。
幽霊は“成仏できなかった人”であり、妖怪は“人の想像で作られた人以外の動物や物”でした。
幽霊や妖怪を恐く見せるための“工夫”や“技術”などは多く利用されており、そもそも人が本能的に恐怖を感じる「夜の病院」や「夜のトンネル」などを舞台にすることは、それが理由でした。
心霊を扱った小話やホラー映画は、人間の錯覚を上手にくすぐったエンターテインメントでもあったというわけです。